是正勧告とは、分かりやすく言うと、労働基準監督署に所属している労働基準監督官がおこなう「御社には労働関係法令違反があります。法令違反を直して報告してください。」という指導のことです。
そして、この指導のときに「是正勧告書」というものが交付されます。
是正勧告は、前述のとおり「御社には労働関係法令違反があります。法令違反を直して報告してください。」という指導ですから、その前提として「調査」がおこなわれます。
「調査」は、企業の規模、赤字か黒字かに関係なく、色々なきっかけでおこなわれます。
そして、調査のとき次の資料を用意するように言われます。
なお、これらの資料のほとんどは法律上作成を義務づけられています。法律上作成を義務付けられている資料については、ない時点で「法令違反=是正勧告」ということになります。
【用意する資料】
@出勤簿
A賃金台帳
B労働者名簿
C労働条件通知書
D就業規則
E時間外・休日労働に関する協定書(36協定)
F健康診断の結果をまとめたもの
Gその他
これらに資料に基づいて、労働関係法令違反がないかを調べられることになります。
@未払賃金がある
A労働条件通知書の交付がなされていない、記載漏れがある
B36協定が出ていない、時間オーバー
C賃金台帳に必要なことが記載されていない
D就業規則が作成されていない、届出がなされていない
E健康診断が実施されていない
F衛生推進者が選任されていない 等
「是正勧告書」による是正指導には、法令違反ごとに期限が定められています。期限までに法令違反を直し、報告してください。
なお、是正勧告はあくまでも「指導」です。従って、是正勧告に従う義務はありません。
しかしながら、「御社には労働関係法令違反があります。」と言われている訳ですから、最悪の場合、逮捕・書類送検・刑罰等の可能性があります。また、人事・労務管理を見直すいい機会だと考え、積極的に是正をおこなったほうがいいです。
「是正勧告書」と一緒に、若しくは、「是正勧告書」は交付されずに「指導票」というものが交付されることがあります。
「指導票」は、法令違反にはならないけど直した方がいいと判断した場合や法令違反の可能性がある場合に交付されます。
「指導票」も、項目ごとに期限が定められています。「指導票」に基づく指導も従業員が安心して働くための職場環境を整えるには大切なことですので、期限までに報告するようにしてください。
是正勧告対応にお困りの方は是非ご相談ください
そもそも是正勧告は労働関係法令違反があるときに出されるものですし、その法令違反を直して、期限までに報告しなければなりません。したがって、労働関係法令の知識が必要不可欠です。是正勧告対応には、労働関係諸法令の専門家である社会保険労務士をご活用ください。
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