誠実交渉義務とは、労働組合に保障されている団体交渉権を実現するために認められているもので、合意達成へと紳士に努力する態度のことです。
この「誠実交渉義務」については法律上の定義はありませんが、カール・ツァイス事件・東京地判平成元年9月22日では
「使用者は、自己の主張を相手方が理解し、納得することを目指して、誠意をもって団体交渉に当たらなければならず、労働組合の要求や主張に対する回答や自己の主張の根拠を具体的に説明したり、必要な資料を提示するなどし、また、結局において労働組合の要求に対し譲歩することができないにしても、その根拠を示して反論するなどの努力をすべき義務があるのであって、合意を求める労働組合の努力に対しては、右のような誠実な対応を通じて合意達成の可能性を模索する義務があるものと解するべきである。」
と述べています。